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トントンギコギコ [コドモと]

トントンギコギコ図工の時間

野中真理子監督の作品(「こどもの時間」につづくシリーズ第二弾)。

今、子どもたちの時間が削られようとしている。
そのことに、日本の未来をどうしたって考えてしまう。
いつの時代も”明日”は”今”を生きる子どもたちが作っていくものだから。

モノをつくることが楽しいだけではない、子どもたちの等身大の姿がある。
今ある自分たちの状況を受け入れ、小学生時代の残された時間を
精一杯楽しもうというせつないキモチが伝わってくる。
まだ小さなカラダ、だが受け入れる心はわたしよりずっとオトナに感じられる。

楽しい映像ばかりではない。
子どもたちの日常の姿を包み隠さず、子どもたちと同じ時間の流れの中、
映像を流しているところにある意味で心を打たれた。
見る人には事実を知って、感じてほしいから。

子どもたちひとりひとりのインタビューには、じっと耳をすまさずにはいられなかった。

興味のある方にはぜひ見ていただきたい。
内容を少し書いておこうと思う。

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主人公は、東京の公立小学校に通う7歳から12歳の子どもたち。
合理的なおとなには役にたたない、モノと時間と思いがあふれている。
そのうえ図工専科のウチノ先生は「失敗してもいいからやってみろ」
「先生いいですかはダメね。いいかどうかは自分で決める」なのだ。
立ちどまって悩んでいい。時間に追われなくていい。うまくなくていい。
考える喜び、つくる楽しさ、心弾む人生のひとこまがここにはある。

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(映画プログラムより)

*自分の日常の中で考えたことを、形にして外在化させる。そしてそれを見ながら語るときの、彼ら彼女らの言葉のひとつひとつは、見えにくい時間を見せくれる。ぼーとしているときは何も考えていないのではない。ものすごくいろんなことを同時に思っているのだ。その時間は、時間の法則を飛び越えて、縦横無尽に時空間をかけめぐる。
この映像は学校の図工の時間を紹介したものではなく、考える時間を丁寧に映し出したものとしてとらえたい。(アーティスト:日比野克彦)

*映画では、子どもの「手」がずいぶん強調されているけれど、単に「器用な手」を育てようなんてことじゃないんだよね。図工は、自分が「コレをつくりたい」というのもあるけれど、いろいろなものにじかに触れると、逆に受け取るものがいっぱいあるわけ。そこから生み出していくことがすごく大事なの。
できていくものといっしょに、自分というものを知るんだよ。そこで、「自分って結構面白いじゃん」と思えたら最高!学力つけろとか、いろいろ言われているけれど、なにより大事なのは、「学校に来て、今日は楽しかった」と思えることじゃないかな。(品川区立第三日野小学校図工専科ウチノ先生)

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(この写真は先週の子どもたちのモノヅクリの様子から)


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コメント 18

ゆう

この映画、何かの雑誌で紹介されていて、
観てみたいなぁと思っていました。
(沖縄で上映しなさそうな部類の映画だけど…。あるといいなぁ)

「できていくものといっしょに、自分というものを知るんだよ」
という言葉がずどーんときました。
子どもの工作だけの話ではないですね。

月うさぎさんが子どもに関わる仕事をされているのはどうしてだろう
と最近ときどき思います。
わたしは教育大だったので大学の友だちは学校のセンセイを
している人が多いのですが、自然学校の取材に行く前に
友だちに「どうしてセンセイやってるの?」と聞いたら
それぞれに意外な答えが返ってきました。
(意外というのはわたしからみたその友だちのイメージで)
by ゆう (2006-02-28 09:39) 

ふう

私の人生を変えた人は
小学校時代にふたりの先生でした。
一人は小学校5年生・6年生のときの担任の先生。
もう一人は絵画教室の先生。
絵画教室の先生は、
いつもみんなの作品の中に
かならず良いところをみつけて
ほめてくれる先生でした。
しかも、とっても上手に。
ちゃんと見てくれている、
ちゃんと評価される、
だから好きになる。
そんな循環がありました。
そんなことを思い出しました。
by ふう (2006-02-28 22:12) 

tomo

今回の記事(日記?)の内容とはズレてしまうかもしれませんが・・・
もう少しでムスメのお誕生日なんです。
で、やっぱりなにか買ってあげたい。
でも、まだ「これが欲しい」っていうことが言える年ではないし、
何が欲しいかとか、そもそも欲しい物があるのかすらわからないです。
(わかる時もあって、その時はクリスマスに買ってあげました)
果たして、子供にとって本当に必要な物ってなんだろうか?
積み木とか、クレヨンとか、絵本とか???
気に入ってくれる時もあるけれど、飽きずに遊んでいるのは
”ジップロック”だったりするんです。(鍵とか)
ジップロックにおもちゃやぬいぐるみを入れては出したり、の繰り返し。
子供の頭の中では、きっとなにかストーリーが出来ているのでしょう。
by tomo (2006-02-28 23:04) 

ちょんまげ侍金四郎

ウチノ先生いいですね。
今の先生って、まず学がないとなれませんよね。
生活の安定を求めて先生になって欲しくないと思うのです。
使命感無くして医者と教師になるな!!
常々思うことです。。。
by ちょんまげ侍金四郎 (2006-03-01 09:01) 

racdasan

こんにちは。とても楽しそうな映画紹介、じっくり読ませていただきました。「先生いいですかはダメね」というのがとてもひっかかりました。うちの長男はなんでも「~していい?」「~でいい?」というのが口ぐぜで、ずーっと気になっていたので。なんだか親の顔色をうかがっているような言い回しで、この子大人になったらどうするんだろう?と思います。下の二人はたくましくわがままなので、やりたいことをしてて暇な時間の使い方が上手。個性なんでしょうが、いい子ちゃんで大事にされている優等生の多くがうちの長男タイプでしょうね。この映画DVDになってますか?(ウトイもので)
by racdasan (2006-03-01 12:31) 

こころ美保子

月うさぎさんこんにちは。
去年の夏、沖縄でも上映されて気になっていた作品でした。
(結局私は見に行けずじまいでしたけど…)

子どもたちの時間もですが、大人たちの時間も削られていってることも私は気になります。
疲れてる子ども・疲れてる大人。
便利になればなるほど、なぜか忙しくなる世の中。

今度DVD借りて見てみようと思います。
素敵な映画レビューをありがとうございました(^-^)。


http://www.cocorodukusi.com/
by こころ美保子 (2006-03-01 14:15) 

月うさぎ

*ゆうさんへ*
>子どもの工作だけの話ではないですね。

そうですね・・モノヅクリ、表現することの基本となるものかもしれませんね。

いっしょにいるとき、子どもたちは誰もわたしのことを”先生”とは呼びません(笑)。先生じゃないからいいんだけど(笑)。
子どもに関わることにこだわり続けているわけではありませんが、(子どもでも大人でも)誰かと会うとき、その人の心に息づく”こども”が気になります。(同様に)自分の心の中の何かと呼応したり、そういうとき”コトバ”があるなって。こころのコトバを知りたい、のかな。。
by 月うさぎ (2006-03-01 17:22) 

月うさぎ

*ふうさんへ*
>ちゃんと見てくれている

ただそばで自分のことをちゃんと見てくれている、こういう第三者の存在はとても大きいものですよね。
そして、いい、悪いという評価ではなく、人は人の数だけ自由に自分を表現することができるということ、そういうことが力になっていき、将来、自分自身を支える力になるとわたしは信じています。

ふうさんにはそんな先生がおふたりもいらしてしあわせですね。
そのことをちゃんと覚えてらっしゃるふうさんも、いいな。
by 月うさぎ (2006-03-01 17:29) 

月うさぎ

*tomoさんへ*
む、むずかしい・・(苦笑)
わたしには子どもがいないので、自分のこととしてはわかりかねますが、やはり親の思いと子どものまっすぐ向かう”欲”とは温度差があるでしょうねぇ(笑)
親の思いとしてこういうものを大切な記念に、という贈り物と、
今すぐ欲を満たすもの?どちらをえらぶかなのかなぁ・・
すぐに読むようになる絵本を買っておかあさんが読んであげるというのもいい時間が過ごせるように思います。記念にもなるし、大切な思い出にもなるし。

ジップロックとかサランラップ切るのとか好きですよねぇ(笑)永遠にやるから・・
雨のときの傘を入れる薄いビニールに色水(水でかなり薄めて)を何色か作って、小さな穴を開けて水遊びするとかなり楽しいようですよ~
ちょっとした虹のシャワー(笑)
by 月うさぎ (2006-03-01 17:38) 

月うさぎ

*ちょんまげ侍金四郎さんへ*
ナイスとメッセージをありがとうございます。

”先生”と呼ばれてしまうことで、勘違いしてしまうのでしょうね。
陥りやすい点だと思います。
わたしは、だーれも”先生”とは呼んでくれないのでよかったのかな(笑)!
by 月うさぎ (2006-03-01 17:40) 

月うさぎ

*racdasanさんへ*
>「~していい?」「~でいい?」というのが口ぐぜで、ずーっと気になっていたので

子どもにとって親はある意味絶対的な存在ですから、それは”確認”のようなものなのかもしれませんね。ひとつひとつ親に確認して得られることの安心感。
それは抱きしめられることから得られる安心感とはちがうものを育てていくのかなぁと思います。
「~でいい?」・・って、たくさんの疑問や好奇心を持っている中、”こうしたいんだけどまちがってない?”ということだから、聞いて、認めてもらえて、安心したい、だいすきなおかあさんにもきらわれたくない、
聞けることは、健やかさのあらわれじゃないかなと思います。
ひとつひとつのこころに丁寧にこたえてあげることが大切なような気がします。
らくださんのようにそういうことにひっかかってあげるおかあさんがいてお子さんたちはしあわせだなぁと思います。

DVDになっていますよ!
わたしも買いました(笑)。
↑のところを押すと、映画の紹介やDVDのことなども色々載っていますのでまずはご覧になってみてくださいね。
by 月うさぎ (2006-03-01 18:03) 

月うさぎ

*こころさんへ*
こころさんはご存知だろうなぁ・・と(勝手に)何となく思っていました(笑)!

>子どもたちの時間もですが、大人たちの時間も
>削られていってることも私は気になります。

なるほど・・。しばらく考えてしまいました。

”時間”の概念をどうつかまえるかで毎日の心の景色もぜんぜんちがうものになりますよね。
外を歩くと、”時間”に追われる大人ばかり・・。
おそろしいことですね。
わたしは、こころさんの日々を読ませていただき、”あぁ、今日もこころさんの五感は研ぎ澄まされている・・”と感じ、うれしくなります(笑)。
ありがとうです。。

↑、ぜひご覧になってください。(もしご覧になったらですが)よかったら
こころさんの感想もお聞きしたいです。
by 月うさぎ (2006-03-01 18:16) 

チルダイ

映画「誰も知らない」、観たいけれど観ることができません。
きっと逞しく生きているんだろうなと思うので。
子供ってどんな状況でも生きているんですよね。
都会の土の無いグラウンドでも、内戦のある地でも。

その事実は、自分が大人になるにつれて、とても胸にせまってくる。
何ででしょうね。きっとこの映画も胸をつまされそうです。
ほんとうに、映画選びには意気地のない自分。
この壁みたいなのを、いちまい破りたいなと思うのだけど。

話は変わりますが、昨日うれしいことが・・・
いまからパネルを買ってきます。
by チルダイ (2006-03-02 12:01) 

月うさぎ

*チルダイさんへ*
チルダイさん、こんにちは!
今、仕事から帰ってきて、今夜のごはんのシチューの仕込みをしているところです(笑)東京はまだまだ寒いんですよー(涙)!
あたためなくちゃ、ね。

「誰も知らない」、わたしもまだ見れていません(苦笑)
寄せられた谷川俊太郎さんのメッセージもいいですね

『生まれてきて限りない青空にみつめられたから
きみたちは生きる
生まれてきて手をつなぐことを覚えたから
きみたちは寄り添う
生まれてきて失うことを知ったから
それでも明日はあると知ったから
きみたちは誰も知らない自分を生きる』

>子供ってどんな状況でも生きているんですよね。
>都会の土の無いグラウンドでも、内戦のある地でも。

今日はよりいっそう、チルダイさんからのコトバはこころに染みてきます・・。
いのちってつくづくすごいものですね。
”もうすぐ春”の道を歩いていると、いのちの強さにいちいち目をみはります。

話は変わりますが、自分の奥深く眠る根っこに近いものだろう・・と思いあたればあたるほど、あえて意識しつつ近づかないときってありませんか・・?
わざわざ遠まわりするみたいな・・。
大切なものほどゆっくりと近づいていきたい・・ていねいに時が満ちるのを待っていたい・・形になるのがこわい・・うまくいえないけれどそういうこと・・。わたしにはそういうところがここぞという時にあるから、やっかいです(苦笑)。
by 月うさぎ (2006-03-02 15:33) 

shiho

こんにちは。
専攻が美術だったこともあり、とても興味深いブログがあります。
中学校美術の教員をしている友人のブログ繋がりだったのですが、
現場の先生の一生懸命なブログです。
月うさぎさん、よろしかったら遊びに行ってみて下さい。
「美術と自然と教育と」http://yumemasa.exblog.jp/
by shiho (2006-03-03 09:27) 

tomo

shihoさんが紹介してくださったブログ等、見てきました。
描画鑑賞ツアーのブログを読んで、私が通っていたセツ・モードセミナーを思い出しました。自分の子供や、園の子供達をみておもしろいなーって思えるのは、セツの影響があるのかもしれません。
by tomo (2006-03-03 14:41) 

月うさぎ

*shihoさんへ*
shihoさん、教えてくださってありがとう!
(PCに向かう日がなく今になってしまった・・)
早速少しですがおじゃましてきました。
ひとりでも多くこういう方を”知る”ということは心強くなれるものですね。
時間を見つけてゆっくりと伺いたいと思える場所でした。
shihoさんのお心遣いにもあらためて感謝です。。
by 月うさぎ (2006-03-10 10:45) 

月うさぎ

*tomoさんへ*
tomoさんの心の中に、娘さんのことはもちろん、ご自分の中にずっと
つづいている心が反応されたのでしょうか。
自分が楽しいと感じた経験は何よりも勝ると思います。
今、tomoさんがいろいろ悩んだり考えていらっしゃること、
きっとぱちっと回路が開かれると思っています。
by 月うさぎ (2006-03-10 10:50) 

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